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呼吸器グループ



ご挨拶

ようこそ。春日部市立医療センター 呼吸器のホームページへ

近年の呼吸器分野の診療スタイルはめまぐるしく変化しています。 呼吸器内科・呼吸器外科・膠原病科の専門医が垣根を越えて同じ患者様の診療にあたる目的で、新病院開院後のセンター化を前提として呼吸器グループを設立致しました。

平成26年4月
グループ長  内科主任部長(呼吸器) 木曽原朗
副グループ長 呼吸器外科主任部長  田川公平

呼吸器グループ設立の経緯

 近年の呼吸器分野の診療スタイルはめまぐるしく変化しています。

 特に肺癌診療においては分子標的治療薬が出現し、遺伝子変化や組織型によって治療薬の種類が決まるようになりました。また、画像診断の進歩によってこれまで描出できなかった早期肺癌が発見される機会が増え、治療方針を決定するためにPET-CTなどの画像診断、気管支鏡検査、呼吸器外科手術を組み合わせて診断する症例も増えてきています。

 春日部市立医療センターでは2013年4月以降、肺がん外来を設立して、数多くの紹介症例に対して呼吸器外科手術・化学療法・放射線療法を行ってきました。この診療を行うためには内科・外科・放射線科・臨床検査科の密な連携が不可欠です。さらに日常診療中に起こる様々な出来事において内科・外科が垣根を越えて診療を行うことが多くなってきています。多くの病院で臓器別診療が普及しているのはこのためです。実際、呼吸器外科の患者様で化学療法が必要な場合には呼吸器内科が診察治療を行い、呼吸器内科の患者様でドレーン挿入など処置が必要な場合には呼吸器外科が行うなどそれぞれが相補的な役割を果たしています。また毎日のように呼吸器内科と呼吸器外科はカンファレンスを行い、いわゆるcancer board(がん患者の状態に応じた適切な治療を提供することを目的として医療機関内で開催される検討会)を介して情報を共有しながら専門的診療に当たっています。

 研究に関しては術前術後の化学療法を協同で研究しており、肺癌に対する化学療法、外科療法、放射線療法の成果を日本肺癌学会・日本呼吸器学会・日本呼吸器外科学会をはじめとして数多く発表しています。

 自己免疫疾患の膠原病(全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす一連の疾患群)はときに間質性肺炎を合併します。 2013年8月より春日部市立医療センターでは、この難治性疾患への専門医による診療を開始しました。診療にはリウマチ学会指導医/専門医の中島医師が当たり、入院が必要な患者様には連携病院である独立行政法人国立病院機構東埼玉病院で治療を行っています。 このような背景の中で呼吸器内科・呼吸器外科・膠原病科の専門医が垣根を越えて同じ患者様の診療にあたる目的で呼吸器グループを設立致しました。

対象疾患

・呼吸器腫瘍疾患(肺、縦隔、胸膜、胸壁)
・嚢胞性肺疾患(気胸、COPD)
・感染性肺疾患(通常肺炎は除く)、瀰漫性肺疾患
・気管支喘息・アレルギー、慢性咳嗽、膠原病(リウマチ等自己免疫疾患)

 当グループは高度な呼吸器専門診療を行うため、一般的な感冒、肺炎の初診患者は診療対象とはしていませんのでご了承ください。(院内院外の紹介状を有する場合はこの限りではありません。)
 気管支鏡検査・手術症例に関しては、グループカンファレンスを行い、呼吸器内科・呼吸器外科の専門医が承認したものに対して行っています。

治療実績

呼吸器グループ治療実績

平成25年度
肺悪性腫瘍に対する化学療法
  外来:413件
  入院:774件
放射線療法
  照射回数:817回(61人)

平成28年
手術
  総件数264件
  (全身麻酔症例:202件、局所麻酔症例:62件)
  悪性腫瘍手術:112件
  (肺癌手術:96件、胸腔鏡手術:85件)

腹腔鏡手術について(最近の肺癌の話題2)

画像説明文

画像説明文

分子標的治療薬(最近の肺癌の話題(1))

分子標的治療薬
はじめに
 肺癌は組織学的に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌に分類されますが、最近の傾向として、扁平上皮癌が減少し、腺癌が増えてきています。扁平上皮癌や小細胞癌は喫煙と関係のある癌として知られていますが、腺癌は非喫煙者、女性に多く発生すると言われています。近年、この腺癌の遺伝子を調べることによって、これまでの抗がん剤よりも格段に良く効く分子標的治療薬が使える癌が存在することがわかってきました。

1)分子標的治療薬の種類

1)分子標的治療薬の種類
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤:(薬品名)イレッサ、タルセバ、ジオトリフ
 腺癌細胞の表面にはEGFRと呼ばれるたんぱく質が存在しています。このEGFR遺伝子の一部に変異が起こるとEGFRのスイッチが常にON状態になり、癌細胞が増殖するのに必要な信号を細胞内に伝え続けます。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤はこの部位を阻害して癌細胞が増殖することを抑えて、小さくすると考えられています。
ALK阻害剤:(薬品名)ザーコリ
 ALK遺伝子はもともと細胞の増殖に関与する遺伝子で、ALK遺伝子と他の遺伝子が融合してできた異常な遺伝子をALK融合遺伝子と呼びます。ALK融合遺伝子は癌細胞が増殖するのに必要な信号を細胞内に伝え続けますが、一部の肺癌でALK融合遺伝子を持つことが明らかになりました。ALK阻害剤はALK融合遺伝子に結合することによってがん細胞の増殖を抑える薬です。

2)遺伝子検査

2)遺伝子検査
 腺癌細胞の遺伝子を調べることによってEGFRチロシンキナーゼ阻害剤やALK阻害剤の効果のある人とない人を見分けることができます。具体的には気管支鏡検査や手術を行い、癌細胞を採取して遺伝子を調べます。結果は1~2週間で判明し、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤が使用できる人は腺癌の50~60%、ALK阻害剤が使用できる人は5%と言われています。

3)効果

3)効果
 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は投与した人の70%-80%に、ALK阻害剤は60%に効果があることがわかっています。これまでの抗がん剤の効果が30%くらいでしたので、これら分子標的治療薬の効果がいかに優れているかがわかります。

4)効かなくなったら

4)効かなくなったら
 分子標的治療薬は他の抗がん剤と同様、癌の縮小効果を示しても、多くの場合いずれ効かなくなります。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の効果持続期間は約1年、ALK阻害剤の効果持続期間は8ヶ月です。その後は従来の抗がん剤を使用しますが、治療を始めてからの平均生存期間は2年を超えるようになりました。これまでの抗がん剤だけだと平均生存期間は1年でしたので、分子標的治療薬の出現により1年の生存期間延長を得ることができるようになりました。

5)今後の展望

5)今後の展望
 肺癌の治療に関する臨床試験の結果が毎年世界の学会で報告されています。主な学会はJSMO(日本臨床腫瘍学会)、ASCO(米国臨床腫瘍学会)、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)です。この3学会の報告を組み入れた治療が毎年行われ、年々肺癌の内科的治療は成績を伸ばしています。

6)大切なこと

6)大切なこと
 これら分子標的治療薬と抗がん剤は使い方によって癌の成長を抑える期間が変わってきます。副作用の抑え方もポイントです。新薬の効果を最大限活用するためには、専門医の診察を受けることが重要です。呼吸器科の専門医には感染症、アレルギー、気管支鏡検査の専門医もありますが、肺癌治療の専門医を受診してください。当センターには日本臨床腫瘍学会の専門医で、肺癌の抗がん剤治療を専門に行う呼吸器内科医がいます。これまでに数多くの肺癌患者様に対して先に述べた分子標的治療薬や化学療法を放射線治療と組み合わせて行っています。