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がん関連サポート体制


ページ内目次


1.がん関連サポート体制における緩和ケアの理念と基本方針

【Q1】 がん関連サポート体制の緩和Qケアの理念、基本方針はありますか?

A1
・緩和ケアの理念
 患者や家族に対して症状緩和医療と多職種ケアを介し、安心して「自分らしい日常を過ごせるよう」に身体と心のつらさを和らげるように努めます。
・基本方針
1.悪性腫瘍並びに心不全に伴う苦痛を緩和するため、主治医に加えてさまざまな専門職が連携し多職種チームを組み、患者と家族のQOL(生命の質・生活の質)の維持向上を目指すよう努めます。
2.患者の意思・価値観・信念を尊重し、その人らしく尊厳をもって有意義に過ごせるよう努めます。
3.患者の生命を尊重し死の過程を自然なこととして見守り、死を早めることも遅らせることもしません。
4.地域の訪問診療、訪問看護等の在宅支援者と連携を図り、患者と家族が住み慣れた自宅へ戻ることができるよう努めます。
5.患者が療養中から死別した後に至るまで、家族がさまざまな困難に対処できるよう努めます。
 春日部市立医療センター緩和ケア病棟運営規約(令和6年5月10日改訂)から引用
➡ コラム:緩和ケアの定義(WHO)

2.緩和ケアの提供体制(基本的緩和ケアと専門的緩和ケア)

【Q1】 基本的緩和ケアと専門的緩和ケアの違い

A1
 緩和ケアとは、患者さんと家族を対象に、病気の診断、病状説明、治療などを契機に生じた身体的、心理的、社会的、そして経済的など辛さの予防、軽減を図るための医療ケアです。診療科を問わず主治医は多職種と連携しながら、がんと診断された時から、通常診察で治療と同時に基本的緩和ケアを行っています。このため緩和ケアは、終末期医療やターミナルケアとは全く異なります。
 緩和ケアの目標は、診断時、治療中、治療後の時期に関係なく、医療者が患者さんとご家族の抱える痛み、不安、怖さなどの辛さを受け止めながら、一人一人にあったこれらの辛さを減らす方法を見つけ、提供し、継続的な評価と対応し、同時に新たな辛さの予防を図りながら、その人らしい生活の質の向上を目指します。
 専門的緩和ケアとは、基本的緩和ケアで辛さの改善が得られない場合に、基本的緩和ケアに加えて、緩和ケアを専門とする多職種緩和ケアチームが患者さんご家族に提供する医療ケアです。主治医と連携しながら、辛さの改善をサポートします。

【Q2】 専門的緩和ケアについて詳しく知りたい

A2
 病院は「病気を治す場」という従来の役割に加えて、「さまざまな辛さをやわらげる専門性の高い治療と医療ケアを担う場」を併せ持つ新たな病院の役割が、全国の病院ですでに始まっています。
 春日部市立医療センターでも、地域がん診療連携拠点病院として、主治医が提供しているがん治療と基本的緩和ケアに加えて、主治医と連携しながら緩和ケア専門職で構成される多職種緩和ケアチーム提供するケアが専門的緩和ケアです。
 具体的には、限られた通常の診察時間では主治医に話せなかった、伝えづらい身体や気持ちの辛さ、職場の社会的辛さ、経済的な辛さなど一人で抱えている辛さを、緩和ケア専門職で構成される多職種緩和ケアチームスタッフが、対話の相手として、主治医と連携し皆さんの辛さをやわらげるサポートをしています。
 外来通院中の患者さん、入院中の患者さんで、多職種緩和ケアチームスタッフの診察を希望される方、緩和ケアについて詳しくお知りになりたい方は、お気軽に各診療科の主治医にお申し出下さい。入院中の患者さんの場合は、お部屋にスタッフが伺います。外来通院中の患者さんの場合は、緩和ケア外来で診察をさせて頂きます。

【Q3】 専門的緩和ケアはいつ頃から始まったのですか?

A3
 春日部市立医療センターは2007年に地域がん診療連携拠点病院として承認され、2008年に、専門職で構成される多職種による緩和ケアチームが結成されています。2017年4月からは、緩和ケア病棟が始まりました。しかし、2020年3月から2024年6月までコロナ感染症対応のため、緩和ケア病棟は閉鎖を余儀なくされました。2024年7月から緩和ケア病棟は再開しました。

3.緩和ケアチーム(緩和ケア専門職チーム)

【Q1】 緩和ケアチームのメンバーは、どのような職種で構成されていますか?

A1
 緩和ケアチームは、緩和ケアについて深い知識と一定の資格を持っている医師(緩和ケア認定医、ペインクリニック医、精神科医)、看護師、薬剤師、公認心理師、ソーシャルワーカー、リハビリセラピスト、管理栄養士等がメンバーです。主治医や看護師と協力して、患者さんの抱える身体や気持ち、生活上の辛さなどをやわらげ、加えてご家族の抱える辛さをやわらげるサポートを専門的に行うチームです。現在診察を担当している医師や看護師と協力して、さまざまな身体の辛さや心配ごとを減らせるように、病棟や外来で専門的緩和ケアを提供しています。緩和ケアチームの診察を希望される場合は、主治医や看護師、あるいは患者支援センターへお気軽にご相談ください。

【Q2】 薬剤師、公認心理師、リハビリセラピスト、管理栄養士、ソーシャルワーカーからはどのような専門的緩和ケアを受けられるのですか?

A2
薬剤師からお伝えしたいこと
患者さんやご家族の抱える辛さを受け止めて、ご意向を尊重した支援を行っていきます。痛みや呼吸の苦しさといった体の辛い症状や、不眠、不安などの精神的な辛い症状を軽減するための最善の薬剤の選択を提案していきます。その際には患者さんの体調に合わせて薬の飲み方や薬の形を検討し、その患者さんにとって最適な薬物治療となるよう調整を行っていきます。
公認心理師からお伝えしたいこと
病気による日常生活の変化は、”自分らしさ”が揺るがされ、不安やいらだち、悲しみなど、心理的な苦痛を生じさせることがあります。脳内のネットワークの異常により精神状態に変調が生じている時は精神科医に診てもらい、脳の機能を元に戻すための薬物療法が必要となりますが、心理的な苦痛は薬では取ることはできません。心理的な苦痛は時間が経過したり状況が変化することで緩和されることも多くありますが、病気と付き合っていく生活の中で湧き起こる思いや普段は口に出すことのない心情・考えを言葉にしたり、病気と心の状態について理解を深めるたりすることが、心理的な苦痛を緩和させることもあります。また、自身の心に目を向ける作業は”自分らしさ”を取り戻すことにも繋がります。私たち心理師は、患者さんの心理的な苦痛が少しでも緩和され、身体的な治療や日常生活を“自分らしく”進められるように支援していきます。
ハビリセラピスト(理学療法士)からお伝えしたいこと
がん進行において筋力低下や転移による運動麻痺、病的骨折、浮腫など様々な障害が起き日常生活が制限されることがあります。これらに対しての障害予防や本人・ご家族様の持つ不安軽減、希望や目標に沿ったリハビリを実施していきます。具体的には痛みの少ない姿勢作りや運動・呼吸方法の指導にて痛みや苦しさ、不安や恐怖感などの身体症状改善、できる限り最期までトイレにいける、歩いて生活できる、外出や外泊ができるなど日常生活の幅が広がるよう動作練習を通して支援します。
管理栄養士からお伝えしたいこと
緩和ケアチームでの管理栄養士の役割は、患者様の症状や病状に合わせて、栄養面のサポートを行いながら「食べる楽しみ」を感じられるよう支援していくことです。当院の緩和ケアチームに介入された患者様には管理栄養士がベッドサイドへ週に1度以上伺い、症状や嗜好の聞き取りを行っています。多職種と情報を共有しながら、患者様のご希望に可能な限り寄り添った食事(内容・量・形態・補助食品など)の提案をさせていただきます。
医療ソーシャルワーカーからお伝えしたいこと
経済的な課題に対してのアドバイスや就労・就学の相談の他、患者会や社会福祉施設の情報提供とその活用の為の支援などを行っています。生活全般に対しての気がかりなことを総合的に一緒に考え、辛さなどを軽減します。

【Q3】 がん以外の病気による身体の辛さ、気持ちの辛さ、仕事などの社会的辛さ、経済的な辛さについても、緩和ケアチームに相談できますか?

A3
 「はい」相談をお受けします。主治医と連携しながら、相談内容に応じて、対応できる担当者に繋げ、辛さを減らし、その人らしい時間を心地よく過ごせるようにサポートします。

4.緩和ケア外来

【Q1】 緩和ケア外来は誰でも受診できますか?

A1
 対象は、当センターの各診療科でがん治療中、あるいは治療が終了した患者さんです。受診には受診中の主治医から緩和ケア外来の受診依頼が必要になります。緩和ケア外来受診を希望される場合は、主治医あるいは患者支援センターにご相談下さい。各診療科での診察時間では、主治医
に伝えきれない辛さや病気以外の相談に、緩和ケアチームの医師と看護師が中心になり対応させて頂いています。対話と診察を通じて、様々な辛さを減す方法を一緒に見つけ、辛さを減らし、その人らしい時間を心地よくお過ごし頂けるようにサポートします。更なる連携が必要な時には、ペインクリニック内科、放射線科、看護外来、患者支援センター相談支援担当等の専門職並びに専門部署とも連携し、より効果的に辛さを減らせるようにサポートします。

【Q2】 訪問診療医との連携はしてもらえますか?

A2
 「はい」しています。主治医、緩和ケアチーム、在宅支援担当、相談支援担当が、訪問診療医と患者さんの情報共有をしながら連携します。

5.がん看護外来(別紙参照)

【Q1】 看護外来で、がんと診断後や治療中の抱えている辛さについても相談できますか?

A1
 「はい」できます。がんと診断された後や再発の説明を聞いた後など、気持ちの沈み込み、衝撃は、『もしかしたら』と予測していても辛いものです。その辛さを抱えたまま、検査・治療が進められていく事を回避するためにも、相談を受け付けています。患者様が希望する場合は、外来診察時に同席することも出来ます。遠慮せずに各診療科スタッフにお声がけください。
 がん看護外来看護師も、診察に同席することで、主治医の考えを把握した上で患者様の不安・困り事に対応できるので、是非診察から入らせていただければ、と思っております。
 また、抗癌剤治療中の辛さには、緩和ケア外来と連携し対応いたします。ウィッグや補整下着の相談も対応いたします(外来化学療法室に見本ウィッグあります。)。予約方法はインフォメーションにあります看護外来のご案内リーフレットをご覧ください。

6.緩和ケア病棟

【Q1】 緩和ケア病棟は、どのような患者さんが入ることができますか。そこではどのような医療や医療ケアが受けられますか?

A1
 主治医、緩和ケアチーム、そして緩和ケア病棟看護師が連携しながら、がんの治療並びに心不全治療を終了した患者さんの身体や気持ちの辛さ、加えてご家族の辛さを積極的に減らし、同時に積極的に辛さの予防を実施する専門病棟です。
 一般病床で辛さを減らすために実施してきた症状緩和医療は継続します。加えて、主治医が緩和ケアチームと連携しながら、きめ細かな観察と評価に基づいて、辛さを減らす方法を提供します。
 また、ケア看護に精通した病棟看護師が、患者さんの観察と発言から、対話を介して新たな辛さの早期発見と予防に努め、主治医・緩和ケアチームと情報共有し、辛さの早期改善に繋げています。
 緩和ケア病棟(5E病棟)は、当センターの5階に位置し(写真1・2)、入棟中の患者さん、ご家族が心地よく過ごせるように、全室個室の病室に加えて(写真3・4)、シャワールーム、寝たまま入浴できる浴槽、談話スペース(写真5)、ミニキッチン、ご家族用控室、ご家族用トイレを完備した独立スペースになっています。
 また、必要に応じて症状緩和のための放射線治療、神経ブロック、口腔内ケア、リハビリテーション、心理療法なども取り入れています。痛みやだるさなどの不快な症状を取り除くだけでなく、気持ちのつらさを減らし、さらに、在宅療養のための支援も行っています。患者さんやご家族が可能な限り穏やかな時間を過ごせるよう努めています。

【Q2】 緩和ケア病棟の理念、基本方針

A2
 理念は、「患者さん、ご家族を中心に据え、多職種の関わりと専門的緩和ケアを通じて、両者がその人らしい時間を過ごせるようサポートします」です。
基本方針は、
  1. 患者さんの抱える様々な辛さを、多職種の専門的緩和ケアで減らします
  2. 患者さん、ご家族と多職種との対話を通じてケアを提供します
  3. 患者さん、ご家族の希望の実現に向けて、多職種が一緒に考えサポートします

【Q3】 緩和ケア病棟で受けられる、病棟看護師から受けることができる医療ケアにはどのような内容ですか?

A3
 がん・心不全に伴う心身の痛みつらさなど、患者様が抱えるさまざまな苦痛症状をできる限り和らぐように援助を行っていくと同時に患者様やご家族の方々がともに大切なじかんを自分らしく過ごすことを目指すことが出来るように多職種で連携を取りながらチームで関わっております。緩和ケア病棟入棟後も今までの主治医の医師と緩和ケアチーム、緩和ケア病棟看護師で連携を取りながら、患者様・ご家族の皆様に関わることができるのがこの緩和ケア病棟の大きな特徴だと思っております。
 緩和ケアの最終目標として「患者とその家族にとって出来る限り良好なクオリティ・オブ・ライフ(Q O L)を実現させることである」と言われていますが、そのケアの核となるのは苦痛の緩和だと思います。看護師は患者様一人ひとりに向き合い、苦痛に関して観察し、カンファレンスで検討・実践につなげ、少しでも苦痛が軽減出来るように行っています。患者様・ご家族様の生活の場として少しでも癒しの場となるようにスタッフ一同で工夫をしています。

【Q4】 だれでも利用、入院(入棟)できるのですか?

A4
 対象は、当センターに継続的に外来・入院治療中の患者さんです。入院(入棟)を希望される方は、主治医、または患者支援センター相談支援担当にご相談下さい。

【Q5】 長期間療養目的の入院はできますか?

A5
 地域がん診療連携拠点病院として、当センターの緩和ケア病棟の入棟目的は、辛い症状のコントロール並びに今後の療養先を決める場です。このため、長期間の療養目的の入院対応はしていません。長期間療養をご希望される場合は、患者支援センター相談支援担当へご相談下さい。

【Q6】 入棟するための条件はありますか?

A6
「はい」下記の条件があります。
下記の全ての項目について了承されていることが必要になります。
  • 患者さん・ご家族が病状を理解し、今後はがん・心不全を治すための検査・治療を行わずに、辛さを減らすための積極的治療と医療ケア、加えて新たな辛さ予防を希望している
  • がん・心不全による急変時の救命処置(心臓マッサージなど)を希望していない
  • 痛み・辛さを減らすために医療用麻薬を使用する場合があることを理解している
  • 長期療養のみを目的とした入院には対応していないことを理解している
  • 辛さが減り、病状が安定した場合は、療養場所(自宅退院や転院等)を相談させていただく場合があることを理解している

【Q7】 入棟の申し込み方法を教えてください

A7
 主治医に緩和ケア病棟への申し込みを希望していることをお伝えください。希望内容をお聞きし、主治医、緩和ケアチーム担当者が対応し、お知りになりたい情報の提供、緩和ケア病棟の内容、入棟基準について説明をさせて頂きます。尚、患者さん、ご家族、主治医、緩和ケアチーム担当者と十分に話し合い、納得の上で申し込み下さい。

【Q8】 退棟基準はありますか?

A8
「はい」下記の基準があります。
下記のいずれかの項目がある際は退棟して頂くことになります。
  • がん・心不全による急変時の救命処置(心臓マッサージなど)を希望した場合
  • がん・心不全を治すための検査、治療を希望した場合
  • 主治医が退棟可能な状態と判断した場合
  • 患者さん・ご家族が退棟を希望した場合
  • 他の患者さんの迷惑になる行為、暴力・暴言等の院内規則を遵守できない場合
  • 退棟調整に必要な手続きなどの協力が得られない場合

【Q9】 寝たままでも入浴できる設備はありますか?

A9
 横になったままの姿勢で、しっかりと入れるお風呂がありますので、ご希望の方はスタッフまでお伝え下さい。なお、患者さんの状態でお風呂に入れない場合もあります。

【Q10】 面会時間は決まっていますか?

A10
 24時間面会は可能です。なお、21時から8時までの間の面会については事前予約が必要になります。なお、15歳未満の方も面会可能ですが、事前予約が必要になります。
 いずれの場合も、面会前には感染対策として自己申告に加えて、体温測定をし、所定用紙に記載をお願いしています。その評価結果に基づいての面会となります。感染症が疑われる際は、面会ができませんので、ご理解の程よろしくお願いします。
 尚、面会開始時と面会終了時には、それぞれの時間の記述をお願いしています。

【Q11】 家族が泊まることはできますか?

A11
 病状に応じて可能です。宿泊を希望される場合は、看護師にその旨をお申し出下さい。無償の簡易ベットの準備がありご利用頂けます。

【Q12】 季節のイベント、レクリエーションなどの催しはありますか?

A12
 入棟中の患者さんが、日常生活の中での楽しみや、季節の変化などを楽しめるように、季節ごとにデイル―ムの飾りつけやイベントを開催しています。

【Q13】 入院中に外出や外泊はできますか?

A13
 主治医の許可があれば、外出、1泊の外泊はできます。しかし、当該時期の感染状況により許可が出ない場合があります。

【Q14】 患者の好きな食べものを持ち込んでも良いですか?

A14
 患者さん一人一人の病状によります。食べ物の持ち込み内容について、必ず主治医にお尋ねください。

コラム

【WHOの緩和ケアの定義】
 緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、適格なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、生活の質を改善するアプローチである。