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[ ] インフルエンザ
内科部長 山岡 健治

 インフルエンザは毎冬、規模の大小はありますが必ず流行します。一般に小児に罹患率が高く高齢者に低い傾向にありますが、死亡率を見ると逆に高齢者で高く、80歳前後にピークが見られます。このため古くから「老人の最後のともし火を消す疾患」として恐れられています。
 また、近年わが国では、小児のインフルエンザ罹患に伴う脳炎脳症が深刻な問題となっています。通常の風邪のウィルスの感染様式は、手から手による接触感染の頻度が高いといわれていますが、インフルエンザウィルスは、主として飛沫感染によってヒトからヒトへ感染し、上・下気道上皮内で増殖します。飛沫感染とは、患者のくしゃみや咳などとともに排出される気道分泌物の微粒子(飛沫)を介して、他の人に感染することを言います。くしゃみによって約200万個、咳によって約9万個の微粒子が排出されると言われていますから、これらの症状のあるときにはマスクの着用が必要となるわけです。インフルエンザウィルスが感染すると、潜伏期は極めて短く通常1〜2日と言われています。1個のインフルエンザウィルスが感染すると8時間後には100個、16時間後には1万個、 24時間後には100万個まで増殖すると言われています。

 この手強いインフルエンザの【予防の基本】は
 @予防接種を受ける
 A栄養と休養を十分に取る
 B人ごみを避ける
 C適度な温度・湿度を保つ
 Dマスクを着用する
 E外出後の手洗いとうがいの励行

等です。このうち流行シーズンに先立つワクチン接種は、予防戦略の基本と考えられるようになっています。1999年12月に厚生省から出された指針においても、個人の発症や重症化の防止の観点から予防接種が推奨されています。ワクチンに採用されるワクチン株は、サーベイランスの結果などを考慮して毎年検討されており、2月にWHOの専門家会議で翌シーズンのワクチン推奨株が決定され、これを踏まえて国内のワクチン株が決定され、製造されています。
 2000年4月14日から13歳以上の被接種者に対しては、1回接種でもよくなりました。一般にワクチン接種によって、十分な抗体上昇が得られるまで少なくとも2週間は必要なため、シーズンが始まる前の11月頃までには接種を終えておくことが望ましいと言われています。
 なお、基礎疾患を持つ人々の接種は、主治医の先生とよく相談をされてからにするようお願いいたします。

 罹患してしまったときの治療法の基本は、安静にし、睡眠を十分に取り、水分補給をしっかりして体力の回復を待つことです。解熱剤の使用は、特に15歳未満の方の場合脳症を起こす恐れがあり、一般的には使わないことが多くなりました。
 最近、抗インフルエンザ薬としてノイラミターゼ阻害剤という薬が登場し、発病後2日以内の早期であればインフルエンザの期間を短くしたり、症状の悪化を防ぐことができる可能性があります。この薬の使用についても、主治医の先生とよく相談をすることをお勧めします。
 しかし予防に勝る治療方法がないのも事実です。インフルエンザに罹らないよう、日頃から気をつけましょう。


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